学会の活動

学術大会

第15回学術大会

「現代日本社会における宗教共同体と倫理」 

日時
2014年10月4日(土)
場所
キャンパスプラザ京都

プログラム

9:30 受付開始
10:00 開会

 

【午前】

研究発表 於:第1会議室

10:00-10:30 「ユーラシア主義と宗教問題について」
元春智裕(本会会員)
10:30-11:00

「至福と隣人―トマス・アクィナスの真福八端解釈―」
山口隆介(聖泉大学)

司会:中村信博(同志社女子大 学)

11:15-11:45

「現代の倫理的課題に対し、宗教共同体はいかに貢献できるのか─「物語」再考─」

小原克博(同志社大学)

11:45-12:15

「「佛の御いのち」について― 現代の余命告知と死の尊厳―」

土田友章(早稲田大学)

 

司会:高田信良(龍谷大学)

 

12:15-13:30

昼休み

昼食は各自お取りください

 

【午後】

公開講演・シンポジウム 於:第1会議室

司会:小田淑子(関西大学)

13:30-13:45

研究プロジェクト本年度活動報告

研究プロジェクト委員会委員長

金子昭(天理大学おやさと研究所)

13:45-15:00

公開講演(要旨右)

「カミ・死者・人 ―日本列島における宗教共同体の過去と現在―」

佐藤弘夫(東北大学大学院教授)

15:00-1515 <休憩>
15:15-16:45

シンポジウム

パネリスト:
佐藤弘夫(東北大学)
井上克人(関西大学)
室寺義仁(滋賀医科大学)
司会:小田淑子(関西大学)

16:50-17:00 写真撮影

 

17:00-17:45 会員総会
18:00-20:00

懇親会

於:ラ・カフェ・ケニア(キャンパスプラザ京都1F)

 

 

講演要旨

「カミ・死者・人ー日本列島における宗教共同体の過去と現在ー」

 

 ナショナリズムの沸騰や国境紛争、原発事故、地球温暖化などが、人類的な課題としていま大きくクローズアップされている。これらの問題の深刻さは、それが文明の進歩に伴って浮上したものだということにある。

 私たちはかつて近代化の進展にともなう理想社会の実現を夢見ていたが、いつのまにか、それが生み出す弊害に悩まされるようになった。地球温暖化のような産業社会の発展に付随する現象だけでなく、ネット上に垣間みられる心の劣化が新たな問題となっている。無人の孤島の領有をめぐって憎悪の国民感情が沸騰するようなグロテスクが現象も、近代以前の社会には決してなかったことだった。

 近代化の深化が、根源的なレベルで人類を取り巻く危機を深めているのである。したがって、私たちが直面する課題に取り組むためには、ただやみくもに共存や融和を叫ぶ前に、これらの問題を生み出す背景にある近現代の精神世界の特殊性を対象化し、解明していく作業が不可欠である。

 日本列島においては、太古の時代から宗教を基盤とする共同体が存在したが、その中身とそれを生み出す土壌となった世界観は時代によって大きく変化してきた。また、公共的空間の立ち上げという点では共通性をもちながらも、宗教共同体が果たした歴史的・社会的役割はそれぞれの時代で同じではなかった。

 この講演では、日本列島におけるコスモロジーと宗教共同体の変貌を概観することによって、精神史の長いスパンのなかで、私たちの生きるこの時代が帯びる異形性を浮かび上がらせてみたい。さらに、前近代社会において宗教が果たしてきた機能に照らしつつ、「3・11」を経た今日、宗教共同体が人類の直面する諸課題の解決に向けて、なんらかの役割を果たしうる可能性があるかという点についても考察してみたい。